昆布などの海藻のねばねば成分から抽出したアルギン酸は、カルシウム存在下で固化(ゲル化)する性質を持っています。この特性を利用して、子供たちのサイエンス実験などで「人工イクラ」を作る時の材料としても知られています。アルギン酸で作成したカプセルは、生体に無害で環境中で生分解性を持つことから、様々な目的に活用することができます。
この装置は、開発技研の水処理技術を利用して製作されました。半自動・自動充填機のノズル技術、制御システム、搬送技術のノウハウを入れ込んで製作しています。使い勝手良く、高効率生産ができます。
1. 外観
開発技研製のアルギン酸カプセル高速製造機CG-2は、一台で直径1mm弱から20mm程度のアルギン酸カプセルを高速に製造する能力を持っています。
装置には、カプセル形成槽が2個設置されており、カプセル製造ノズルが左右に移動しながらカプセルを生産します。一定時間ごとに作業者が形成槽からカプセルを回収することにより、連続的に生産を続けることができます。
2. 大カプセル生産
CG-2で大カプセルを作成すると、下記のようになります。作製した直後はまだ柔らかいです。ちょっと古いですが、水風船ぐらいの硬さでしょうか。

作製して数時間すると内部まで分子間架橋が進んで、下記の様に引き締まって少し小さくなります。それに伴い硬くなり、プリプリした感じになります。強く握らないとつぶれません。

(生産後数時間経過)
下の写真は、カルシウム水槽から引き揚げた状態です。 数分で作製した量です。 あっという間に大量にできます。この装置では、1秒間に約2個の大カプセルを生産できるので、5分だと600個の生産ペースです。

(数時間経過)
下記は、作製した大カプセルをノギスの上に並べた写真です。数時間立った状態で直径15~20mmぐらいでしょうか。

3. 中小カプセル生産
中小カプセルを生産する場合は、ノズルカセットを交換します。中カプセル以下のサイズの生産速度は大カプセルよりも早いです(粒子数)。下記は中サイズのカプセルを約20秒生産したものです。

(生産後数時間経過)
中カプセルのサイズはノズルや生産条件で変更する事ができますが、この条件では直径約3mm程度の大きさにしています。このサイズになると結構固く感じます。手荒に扱っても壊れない程度の硬さがあります。

下記の写真は、小サイズのカプセルの生産後の状態です。この条件では粒径は1~2mm程度です。これは15秒程度生産した時のカプセル量です。

(生産後数時間経過)
下記は生産した小カプセルを拡大した写真です。

(数時間経過)
この小カプセルを透過光で撮影したものが下の写真です。

生産した中カプセルと小カプセルを並べて比較した写真が下記になります。どちらもおおむね粒径は揃っています。粒径は、ノズルや生産条件である程度調節できます。

4. 微小カプセル生産
更に小さく粒径1mm以下程度の微小カプセルも作成できます。生産速度は、小カプセルよりも更に数倍の速さになります(粒子数で比較)。通常のカメラで粒径・形状を判別できるぎりぎりのサイズですが、粒径のばらつきを広い視野で示すために通常のカメラの写真を載せます。このサイズになると粒径はばらついてきますが、生産開始・終了時に発生するバラつきなので改善できます。本来、実体顕微鏡で写真を撮るべきサイズなのですが、それ今回は割愛致します。

開発技研では、充填機により開発された各種水処理技術やシステム制御技術を応用利用して、様々な産業機器を作製しています。