腐食(反応)性液体を充填するために設計された ノズル昇降式充填機です!
完全非金属の接液部に加え、シリンダーなどの駆動部のオールステンレス化、フッ素系樹脂・ゴムの採用などを行い、腐食性環境での耐久性を大きく向上させています
これまで充填機を複数台導入してきた工場でも、充填機の腐食や金属接液部からの成分溶出が問題で、今でも腐食性液体は手作業で充填している場合が多いです。充填作業能率の向上と作業者の安全を考えると何とかしたい、というご希望をよく聞きます。そこで開発技研では、そのような腐食性のある液体を、より速く、より安全に充填できる充填機を開発しました。
・20Lポリコン・タマカン容器に20kg充填(5ミクロンフィルター有)の場合、容器のセット、充填、簡易キャッパーによるフタ締め、容器の搬送の作業で、1時間に80容器以上の充填速度。
・最小ポアサイズ1ミクロンまでのフィルターを機中に搭載可能。煩わしいフィルターカートリッジの交換作業や配管取り回しの手間がかかりません。
・標準型のLTP充填機シリーズよりもコンパクトな幅75cm×奥行き76cm×高さ164cm。工場中の様々な所で、より小回り良く移動させて使用することができます。
詳細

高耐食性ノズル昇降式液体充填機
β 10LMPS
このモデルでは充填後の容器を右側に排出するタイプになっています(左右どちらにもできます)。
充填機の右側面にある白い筒はフィルターカートリッジです。
本製品には、簡単であっという間にふた締めができる簡易キャッパーが搭載されています(上記の写真では取り外してあります)。 出荷前状態なので、制御ボックスには保護シートがついています。
1. 高い耐腐食性を持っています
充填機は非常に有効かつ強力な産業機器ですが、どんな溶液でも充填できるわけではありません。いろいろな工場を拝見させていただくと、腐食性の液体の充填機に手こずっているのをよく拝見します。そこで開発技研では、このような腐食性のある液体をより速く、より安全に充填できる充填機を開発しました。 耐腐食性に関しては、充填機導入の手引きのページに記載したので、そちらも併せてごらんください。
本製品には、様々な耐腐食性対策が導入されています。まず接液部は完全非金属です。他は、容器固定用の治具の一部と秤の一部をのぞいて、腐食性液体や腐食性ミスト(霧状の腐食性液体)が付着しうる部分は樹脂とステンレスで出来ています。これらの非ステンレス部分も、追加料金でステンレス化をすることができます。また、制御ボックスや秤操作盤内の電気回路や、秤のロードセル(重量センサー)には、外部のきれいな空気を常に導入し、中に入り込んだ腐食性ガス成分をパージ(追い出し)することにより腐食から保護されます。また、高価で繊細なノズルの昇降機や液受け皿の駆動部は樹脂とステンレスだけで出来ています。これらの部分には、高価で長納期のエアシリンダーやリニアガイドが含まれていますが、これらの部品はステンレス製(一部樹脂)を使用しているため、腐食性環境での耐久性が大きく向上しています。充填機の架台でも、腐食性液体が配管から染み出た時の為に、仕切り構造をいくつも導入し、作業者や各部品を保護する構造になっています。
2. β10シリーズの熟成された技術を使用した安心の充填機
本充填機は、これまでに化学工場で鍛えられて熟成されたβ10充填機のノウハウが生かされています。高速にそれでも正確に液を充填する技術や、容器の外部に液が飛ばない・付着しない構造、作業者が間違えずに簡単に操作できるユーザーインターフェースなど、様々な技術が引き継がれています。ただ他の本充填機は他の充填機とは多少異なり、速度以上に安全性を重視し安心に充填作業ができる事に重点を置いて設計されています。ノズルの昇降速度や溶液の吐出し始めの速度も穏やかにしています。その結果、通常モデルの充填機β10LTPシリーズ(150~180容器/時間)よりも充填速度は遅くはなりますが、充填機への容器のセット、充填、簡易キッャパーによるフタ締め、容器の搬送を入れて、1時間当たり80容器以上の速度で充填ができます(作業者1人、5ミクロンフィルター、20Lポリコン・タマカンへの20kg充填の場合)。もちろん、液はね無しの条件での充填です。
このように水を扱う作業場で、移動させ使用する機器のため、感電による危険性を低減させるため200V電源を本充填機では使用しません。家庭用100Vコンセント1つですべて運用できるシステム設計をしています。
3. 充填量の記録機能(紙ベースの印刷の場合)
最近は充填重量を記録して残す必要がある場合が多々あります。開発技研の充填機には、充填重量を記録する機能を搭載することができます。下記の写真はそれ一例ですが、下記のβ10LMPS充填機には紙ベースに印刷するプリンターが搭載されています。充填重量は、個々の充填が完了直後に自動的に印刷されます。下記の写真では重量値だけですが、日付や時間も同時に印刷することができます。

開発技研のほとんどの充填機には、紙ベースに充填重量を自動印刷する機能を付けることができます。
それ以外にも開発技研の充填機では、必要に応じて、日付、時間、中間重量値、計算結果などの値をコンピューターファイルに自動的に保存する機能(ログ機能)を搭載しているモデルもあります。そのファイルは、SDカード内にエクセルで見ることができるCSV形式で保存されます。保存データーは自動的に保存されていきます。
4. ソフトウェア
このモデルでは、これまでの「簡単初期設定」を含む視覚的でわかりやすい操作画面が搭載されています。また下記のβLMPSでは、オートゼロ機能が搭載されてます。これらの操作画面やシーケンサプログラムは、充填作業のやり方やご希望に合わせて、最適なものを毎回作成し搭載しています。

ウィザード形式で質問に答えて自動的に機器設定をする「かんかん初期設定」は、このモデルでも搭載されています

分かりやすい操作画面は好評です。

このモデルでは、オートゼロ機能がついています。空容器をセットしてスタートボタンを押すと、画面左下の秤量値が自動でゼロになり、充填がスタートします。
仕様
シリーズ名 | 高耐食性ノズル昇降型液体充填機β10LMPSシリーズ |
対象容器 | ・5, 10, 20L BIB容器、4,5, 10, 20L ポリ容器、扁平ポリ容器など ・小さい容器の場合、充填ノズルの交換が必要な場合があります。 |
充填性能 | ・本製品は充填速度以上に安全性を重視したセッティングになっています。 ・充填速度: 36~秒/20kg充填(20Lポリコン・タマカン容器、5ミクロンフィルター条件) ・秤量精度+60g/-0 g ・20Lポリコン・タマカン容器に20kg充填の場合(5ミクロンフィルター)、容器のセット、充填、ふた締め、容器の搬送を入れて、80~容器/時間程度の充填速度。 充填速度・精度は、溶液の性質、溶液タンクの高さ、配管の太さ、ポンプの容量等様々な要因により変わるため、参考値です。 ・最新の充填量補正システムにより、安心・高精度な充填を実現 |
秤 | A&D製秤を使用 |
充填ユニット | ・充填ノズル昇降式 ・ポリプロピレン製ドリップレスノズルにより、液だれを強力に防止 (交換可能。太さが選べます) ・自動収納式液受け皿(ポリプロピレン)とはね防止版により、液だれ・液はねを強力に防止 |
ポンプ | ・400Wケミカルポンプ(渦巻きポンプ) ・接液部は、ポリプロピレン、フッ素樹脂、セラミックス ・インバーター制御 |
制御部 | ・3つの押しボタンとタッチパネルにより、簡単操作。分かり易いグラフィックス表示 ・高発泡性溶液用の対策プログラムも標準搭載 ・シーケンサによる昇降装置とインバータの7段階変速制御により、高速で正確な充填を実現 |
フィルターハウジング | 機中に搭載。ご指定のメーカーに変更可能 |
治具 | ・高精度治具搭載。作業者の負担を低減させます ・ご使用の容器に合わせて、3Dプリンターにより最適な固定具を作成し取付けますので、安心・確実な固定が可能です ・固定具部分を交換することにより、様々に容器に対応 |
接液部 | ・塩ビ、ポリプロピレン、セラミックス、EPDMゴム、フッ素ゴム(非金属) ・フッ素系樹脂・ゴムへの変更も対応します。ご相談ください |
架台 | ステンレス(SUS304)溶接架台。ブレーキ付きキャスターにより移動可能。樹脂製架台への変更も可能。 |
電源 | 単相100V15A コンセント |
必要設備 | 設置場所に0.7MPa以上の圧縮空気ラインが必要です。 |
キャッパー | 簡易キャッパーシステムとのセットです。簡易キャッパーは外付けです。 |
オプション | BIB内袋を膨らませるエアブローガンを搭載できます。 |
ご注意 | ご存じのように腐食性液体には様々なものがあります。本製品は耐腐食性を高めていますが、すべての腐食を防げるものではありません。各部品の素材と特性をご理解の上、ご使用ください。 |
納期 | 発注後約2.5カ月 |
参考価格 | お問い合わせ下さい。価格は仕様により異なります。 |